配分額 *注記 |
15,610千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 810千円)
2007年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2006年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2005年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
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研究概要 |
1.海洋レーダーのシステム整備と解析手法の開発 海洋レーダーの精度は良くないし欠測時間・領域もしばしば生じる。そこで海洋レーダーを念頭に,汎用性のある補間・推定・解析法を種々考案・開発した。1)多数のレーダー観測値がある場合の解析法を一般化した。2)極めて簡便で使いやすい調和補間法を考案した。3)更に「調和型緩和付き最小自乗法」に汎用化した。この方法は,海洋レーダーに限らず観測値を残らず使って推定精度を上げようとする。4)調和型緩和つき最小自乗法の流体力学的意味を明らかにした。5)レーダーで用いる円筒座標を含む直交曲線座標一般に関する使いやすい表現を導いた。 2.海洋学的知見 1)対馬程度の大きさで反時計回りの亜中規模渦(「対馬渦」と呼ぶ)が対馬東方に発生することを海洋レーダーで見出した。その対馬渦の時空間変動特性を長期蓄積したデータを基に解析した。強く目立つ対馬渦は夏から秋にかけて発生する。渦は対馬南東部から放出されているように見える。渦の発生間隔は4-6日または10-12日が多い。対馬は北東に向かう対馬暖流と比較的強い振動潮汐流に曝されているので,対馬渦の発生には,対馬暖流の速さ,大潮・小潮時の具合,季節で異なる密度成層という三要素が関係していることを強く示唆する結果となっている。 2)海洋レーダーによる月平均海流図を基に対馬海峡表層流動場を解析し季節変動を明らかにした。夏には対馬東方に南西向き反流が見られる。冬には南東側の福岡に向かう表層流が顕著である。しかし,季節風による吹送流を推定し,これを差し引くと海流の実態が見えてくる。冬場に福岡に向かうと見えたものの大半は吹送流である。また夏から秋に対馬と壱岐の背後に定符号の後流渦が頻繁に現れている。月平均で見えた対馬東方に見られる南西向き反流は,対馬暖流が対馬という島の背後に作る後流渦を均したものであることを強く示唆している。
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