配分額 *注記 |
16,060千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 660千円)
2007年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2006年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 9,900千円 (直接経費: 9,900千円)
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研究概要 |
常温常圧に近く,また酸化雰囲気で水に豊富な地球表層では,一般的な鉱物のような3次元周期性を持たない無機物質が多く形成される,これらの物質は非常に微細であり,無機高分子とも呼べるような存在であるが,その構造や集合組織は,そのナノレベルのサイズや構造の非周期性ゆえに未だ明らかになっていない点が多い.本研究ではこのような範疇に入る物質としてイモゴライトやスメクタイト,さらに積層不整の著しい層状珪酸塩を取り上げ,その解析手法を確立するとともに,未知な構造の解明を目指した. 天然のナノチューブと呼べるイモゴライトの構造は,主にその電子回折パターンを用いて解析を進めたが,回折強度全体を完全に説明できるモデルを未だ見つけることができず,今後も研究を継続していく.一方イモゴライトの合成条件に関する研究は産総研の鈴木により,いくつかの新しい知見を得ることができた.この結果はイモゴライトの効率的な合成条件の確立に大きく寄与するものである.またスメクタイトに代表されるような層状珪酸塩の2:1層については,特に八面体サイトの1/3が空になった二八面体型構造のバリエーションについての研究を進め,ある種の雲母を高温で脱水酸基化すると今まで無かったまったく新しい層状珪酸塩の構造が現れることを見出した.さらに積層不整の著しいカオリン鉱物,葉ろう石,滑石,緑泥石など様々な層状珪酸塩の積層欠陥の本質を,世界でトップレベルの高分解能電子顕微鏡法,さらにその結果と粉末X線回折のシミュレーションを組み合わせることにより,次々に明らかにした.また電子回折における菊池パターンを利用した積層構造の評価法,微細な結晶性物質の結晶方位や形態の解析法などの新しい手法,高分解能電子顕微鏡像の画像処理法等を確立し,論文・発表等で公表した.
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