配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 900千円)
2007年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2006年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
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研究概要 |
本研究ではマントルから地殻最上部の溶岩層まで系統的な研究を行い,以下のような成果を得た.オマーンオフィオライトのマントルの広域的地球化学的・鉱物組成マッピングから,高枯渇帯の存在が明らかになり,海嶺下における初生的な溶融プロセスや二次的な改変プロセスが明らかとなってきた.マントル-地殻境界の空間的変化の実体を解明するために,海嶺セグメント中心から末端部へ岩石柱状図を作成・比較した結果,セグメント中心部ほど流動が強くかつメルトの抽出が効率的に生じていたことが明らかになってきた.海洋下部地殻の形成プロセスの問に関しては,ガブロ層の基底部から上部へ向かって分化が進んで行くが,セグメント中心部では組成変化が小さいのに対し,中間部から末端部ではその変化が大きくなる傾向が明らかとなった.この事実はセグメント中心部ではよりガブロ氷河モデルに近く,中心部から離れるにしたがってガブロシートモデルに近い状況となっている事を示唆している.溶岩層に関しては,セグメント中心部付近では溶岩層が薄くイベント回数が多いのに対し,セグメント末端部では個々の溶岩層が厚くイベント回数が少ないといった系統的な変化が明らかとなった.また,セグメント末端部ではそのほぼ中間にアンバーが介在している事が発見された.これは大規模な重複海嶺における特徴的な地質現象を表している可能性があり,現在詳細な解析を進めている. 超高速拡大海嶺で形成された海洋地殻であるIODP Hole 1256Dにおける研究では,ホールの深い部分での変成作用が輝石ホルンフェルス相に達していることや,一部で部分溶融が生じていることが記載岩石学から推定され,全岩化学組成の検討でも部分溶融が生じている事が示された.また,Hole 1256Dの玄武岩組成の特徴は,高速拡大海嶺のEPR玄武岩よりもやや不適合元素に枯渇している特徴がある事も明らかとなった.
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