配分額 *注記 |
10,190千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 690千円)
2007年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2005年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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研究概要 |
申請者は4員環が縮環した特異な格子状構造を持ちC2対称回転軸を有するケイ素-ケイ素二重結合化学種(ジシレン1、正式名:2,3,4,6,7,8,2',3',4',6',7',8'-dodeca-tert-buty1[5,5']bi{1,5-disilatricyclo[4.2.0.0^<1,4>]octylidene}-2,7,2',7'-tetraene)の一容器内における簡便な合成に成功した。1は室温溶液中で、対応するシリレン2との解離平衡にある。このため、1の溶液にアルコール類やアセチレン類を加えるとゆっくりと反応し、それぞれ2との付加生成物を定量的与える。1の解離反応は可視光照射下で促進されるが、発生するシリレン2の再結合も非常に早く、定量的に1を再生する。しかし、レーザー分光法を用いて2の過渡吸収を測定したところ、764nmに吸収極大を示した。この値はシリレンとしては非常に低エネルギーである。その原因を時間依存密度汎関数法(TD-DFT法)により理論的に解明した。 シクロアルカンの各頂点に別のシクロアルカンがスピロ結合した分子はロータンと呼称される。ロータンはその幾何学的に高い対称性をもつため、それに起因する特異な物性が期待される分子である。本研究では、初めてのコロナンのケイ素類縁体であるヘキサシラ[6.5]コロナン(3)の合成を行い、その構造や物性の解析を行った。合成は市販の1,1-ジクロロ-1-シラシクロブタンをカリウムグラファイトで還元することによって行った。反応の初期生成物であるヘキサシラ[6.4]ロータンがドミノ型の連続的環拡大反応を起こし3が得られたものと考えられる。コロナン3のX線結晶構造解析を行ったところ、3のケイ素6員環が平面に固定されていることが明らかになった。シクロヘキサシランは通常、無蛍光性であるが、コロナン1では蛍光が観測された。堅固な骨格により無輻射失活が抑制されたためと考えられる。
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