配分額 *注記 |
15,580千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 780千円)
2007年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2006年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2005年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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研究概要 |
現在,微量元素分析用の励起源やイオン源として最も広く使用されているアルゴン誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)を用いたICP発光分析法(ICP Atomic Emission Spectrometry, ICP-AES)およびICP質量分析法(ICP Mass Spectrometry, ICP-MS)はアルゴンプラズマしか使用できないため,(1)アルゴンプラズマでは非金属,特にハロゲンなどのイオン化能力が十分ではない,(2)アルゴンに起因した質量スペクトル干渉が生じる,(3)ランニングコストが高い,(4)分析の要望が高まっている有機試料の質量分析が困難である,などのいくつかの原理的な欠点を持っていた。また,溶液試料の利用効率も10%前後と低いため,近年分析の要求が高まっている,微少量試料の分析には不向きであった。 そこで,本研究では,市販のネブライザを用いて溶液試料を直接噴霧導入分析できる,溶液試料の導入効率が100%であるICPトーチを開発した。噴霧した試料がプラズマ中に拡散するとプラズマが不安定となるため,噴霧試料の周囲にサポートガスと呼ぶ包囲ガスを流す事で試料の拡散を低減し,安定なプラズマを生成する事ができた。 噴霧試料の拡散角を測定し,サポートガスの有効性を確認した。また,分光計測によりプラズマ中の試料拡散を実測し,かつ,外気の混入についても詳細に調査した。さらに,実際に微量元素分析を行い,従来の1/16の試料量で1/2の信号強度を得る事に成功した。つまり,試料量当たりでは,8倍の分析感度を得る事ができた。また,試料のメモリー効果は従来装置の約1/13に低減できた。さらに,このプラズマ源を質量分析装置と結合し,微少試料を質量分析する事に成功した。
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