配分額 *注記 |
15,950千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 1,050千円)
2007年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2006年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
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研究概要 |
酵素は水溶媒中で化学反応を触媒するというのが生物学的な常識であり,反応媒体に関しては従来関心が払われてこなかった.申請者らはイオン液体を溶媒とするリパーゼ触媒反応を展開し,イオン液体という溶媒に酵素を固定化して再使用する反応システムを構築し,さらに,ポリオキシエチレン鎖を持つイオン液体で酵素をコーティングするとリパーゼが顕著に活性化できることを明らかにした.さらに,イミダゾリウム塩にプロリン側鎖を連結した4種の新規プロリン置換イオン液体を合成し,このイオン液体でコーティングを行ったリパーゼPSで顕著な反応加速が実現した.なかでも,非天然のD-プロリン置換イオン液体コーティングが最も活性化に効果があることがわかった. さらに,Geotrichum candidum由来の酸化還元酵素をイオン液体コーティングすると,緩衝液溶液中のアセトフェノンの不斉還元の反応速度が大きく向上し,リパーゼのみならず酸化還元酵素もプロリン置換イオン液体コーティングで活性化することができた.次に,イオン液体という溶媒に酵素を固定化して再使用できることはすでに確立していたが,イオン液体は粘度が高いこともあり,通常の有機溶媒に較べると反応速度が低いという問題点があった.エーテル官能基を持つ新規ホスホニウム塩イオン液体を合成し,この溶媒中でリパーゼ触媒反応がきわめて円滑に進行し,初めて有機溶媒を越える反応速度でアシル化反応を実現した.さらに,イオン液体コーティング酵素による不斉アシル化をこのホスホニウム塩イオン液体中で行うと,酵素を10回以上再使用することができることを明らかにした.
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