研究課題/領域番号 |
17350105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子・繊維材料
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
鈴木 章泰 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70216357)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
15,400千円 (直接経費: 15,400千円)
2006年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
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キーワード | ポリ(エチレンテレフタレート) / ポリ乳酸 / ポリグリコール酸 / 超極細繊維 / 不織布 / 炭酸ガスレーザー / 極細化 / ナノファイバー / 生分解性 |
研究概要 |
本研究課題では、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、生分解性であるポリ乳酸(PLLA)および生体吸収性であるポリグリコール酸(PGA)繊維に炭酸ガスレーザー極細化法を適用し、PET、PLLAおよびPGA極細線維から構成される不織布を作製し、その作製条件および得られた不織布の特性について検討した。本方法は、極細繊維の不織布を作製する既存の方法(メルトブロー法やフラッシュ紡糸法など)とは異なり、均一な繊維径から構成される不織布を無溶剤で作製することができる。以下にその成果を述べる。 1.PLLA不織布では、繊維供給速度を0.15〜0.75m/min、エアージェットへの空気供給量を10〜40L/minと変え、綿状の極細繊維(Web)を作製した。その結果、供給速度が遅く、空気供給量が30L/min付近で繊維径が最も細くなり、複屈折は細い繊維ほど高くなる傾向にある。繊維供給速度0.1m/min、空気供給量30L/minにおいて、もっとも細い繊維径3.4μmの超極細繊維が得られ、この副屈折は20.5×10^<-3>であった。 2.PGA不織布では、PLLAと同様、PGAにおいても繊維供給速度とエアージェットへの空気供給量を変えてwebを作製したところ、遅い供給速度、空気供給量30L/minの条件下で得られたwebの繊維径は約3μmであった。 3.炭酸ガスレーザー極細化装置で作製したWebを不織布化するためにPLLAおよびPGAのWebをシート状に形成し、このシートを100〜200の熱処理音頭範囲で、処理時間を変えて真空オーブン中で熱処理した。この熱処理により均一な不織布を作製できる。処理温度と処理時間を変えることにより、不織布の強度や結晶性を制御できる。 4.PER不織布では、細胞培養の培地としての可能性を検討するために、マウスの線維芽細胞培養を行った。その結果、線維径が細い線維から作られる不織布ほど、細胞の生着性が良好であることを確認した。 5.真空中で高出力レーザーを繊維に照射し、安定して繊維を引き出すことで、ナノオーダーの繊維が得られることを見出した。この方法でPET、PLLAやPGA繊維のナノファイバー化を試みたところ、PLLAでは平均繊維径約100nm(最小径:54nm)のナノファイバー、PETでも平均繊維径313nm(最小径;177nm)のナノオーダーの繊維が得られた。また、これら繊維径分布はきわめて狭く、均一な繊維径のナノファイバーである。 本研究課題では、炭酸ガスレーザー極細化法による不織布の作製法を確立した。さらに、本研究課題を進める課程で、ナノファイバーの新たな作製法を見出した。この方法は、トップダウン型のナノファイバー作製法である複合紡糸法やボトムアップ型のエレクトロスピニングとは全く異なり、溶剤を使用せず、ほとんど全ての熱可塑性高分子材料に適用でき、高い原料利用効率で連続したモノフィラメントのナノファイバーとして得られ、新規なナノファイバー作製法として期待できる。
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