配分額 *注記 |
15,290千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 690千円)
2007年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2006年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2005年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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研究概要 |
まず、良質の透過型電子顕微鏡(TEM)用InN薄片試料の作製技術の確立を図った.その結果、集束イオンビーム(FIB)-μサンプリング処理の前に切りかぎメッシュを予め加工して、最終イオン研磨を可能にする技法が最も有効であるという結論に達した。この手法により、はじめて精度の良いTEM解析が可能になった。 解析実験には分子線エピタキシャル成長(MBE)法でサファイア(0001)基板上に成長させたInN薄膜試料(酸素の含有量は3%程度もしくはそれ以下)を供した。TEM観察により、InN薄膜は、径50-100nmのコラム状結晶の集合で成長方向は<0001>であること、a-軸方位の配列はほぼランダムであることが確かめられた。コラム状晶の極性は収束電子回折(CBED)法で解析し、N極性をもって成長していることを明らかにした。 次に、アルケミ法を利用してInNに含まれる不純物酸素原子の占有位置を解析した。酸素原子は窒素原子を置換するほか、格子間位置を占める可能性がある。ウルツ鉱型構造にはT(x,y,z)=(0,0,〜5/8)および0(x,y,z)=(2/3,1/3,〜z)に広い格子間位置がある。(0001)面チャネリングを利用したアルケミ解析により、酸素原子はT位置を占有していないことを明らかにできた。次に、(1-100)面チャネリングにより、酸素原子は0位置には無く、やはりN原子を置換していることを明らかにすることができた。 窒素原子を置換した酸素原子1個が1個の電子キャリアを供給すると仮定して、3%酸素が見かけのエネルギーギャップ幅(光吸収)に及ぼす影響を簡単な自由電子モデルの範囲で考察した結果、Moss-Burstein効果で十分に説明がつくことを示した.本研究で明らかになった酸素原子位置に関する成果は、InNの酸素原子の結晶内拡散プロセスや構造欠陥を議論する上で貴重な情報となる。
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