研究概要 |
次世代の半導体デバイスの構造は,サブミクロンオーダーでの高機能化,高集積化とともに,その領域での精緻な構造・組成のデザインおよび制御が重要になっている.そのため,デバイス中の各パーツの結晶構造や応力分布もまた多様化しており,デバイスの特性や寿命の劣化を引き起こす原因にもなっている.これらデバイス特性の向上には,劣化原因である局所的な格子歪や結晶組成を解析し,最適な構造にすることが必要である.本研究の目的は,次世代デバイス開発を目指し,デバイス中のサブミクロンの領域を,格子歪Δd/d〜10^<-5>という高感度で評価できる高分解能マイクロX線回折法を開発することである.研究期間中に,以下の研究開発項目を実行した. 1.高分解能マイクロX線回折システムの開発:ゾーンプレートと狭幅スリットを組み合わせた光学系により,500nmのビームサイズで発散角100μradを達成し,サブミクロンの領域を格子歪Δd/d〜10^<-5>という高感度で評価できる高分解能マイクロX線回折システムを開発した.また,サブミクロン領域の歪を逆格子マッピングできる測定法の開発も行った. 2.歪緩和SiGe緩衝層の局所歪測定:Siチャネル形成に必要不可欠な歪緩和SiGe緩衝層の微小領域X線逆格子マッピング測定を行った.その結果,成膜方法によりサイズ70〜400nmの傾斜ドメイン構造が存在することが確認された.また,微細加工を施したSi_<0.7>Ge_<0.3>およびGe細線の局所的歪構造を評価し,Si_<0.7>Ge_<0.3>細線では弾性的歪緩和が存在することが確認できた. 3.GaN系レーザ構造の局所領域歪計測:GaN系レーザ構造の微小領域で,X線回折測定を行うことが可能となった.リッジストライプ領域で得られたX線ロッキングカーブは,領域以外のデータとの比較において大きな変化が観測され,リッジストライプ領域には局所的な歪みが生じていることが確認された.
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