配分額 *注記 |
16,470千円 (直接経費: 15,300千円、間接経費: 1,170千円)
2007年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2006年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2005年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
|
研究概要 |
本研究の目的は,単結晶金属および酸化物表面でのオルトーパラ転換における磁場効果と磁気効果の機構解明を行うことである。はじめに,外部磁場下でオルト・パラ比を精密に測定可能な水素分子のレーザー誘起蛍光法の開発を行った.続いて,Cr(110)表面に反強磁性体であるCr_2O_3(0001)単結晶薄膜の作製を行い,低速電子線回折および反射赤外吸収分光を用いて構造とダイナミクスを明らかにした.この表面における水素分子のオルトーパラ転換を,レーザー共鳴分光法を用いて調べ,転換時間がH2分子で210s,D2分子で540sであることを明らかにした.さらに,Cr_2O_3表面でのオルト・パラ転換における外部磁場効果を調べた.T=44.5Kにおいて,外部磁場強度BをB=0, 1, 3Tと変化させたときの転換時間は、それぞれ108, 108, 116 minであることがわかった。転換の理論によると、回転エネルギーが電子系に散逸する場合は転換速度に磁場依存性が現れ、磁気系・格子系の場合は磁場依存性が現れないことが示されている。今回の実験結果から、Cr_2O_3単結晶表面での転換では、回転エネルギーは磁気系か格子系に散逸していると結論できる。また,転換には温度依存性があることを見いだし,吸着における静的な転換に加えて、動的な転換機構が作用していることを発見した.Ag表面に磁性体である酸素分子を導入し,その表面でのオルトーパラ転換時間を測定した.酸素吸着量を増加させるに従って減少することを見いだし,シミュレーションを併用し,酸素近傍での転換時間が8.2sであることを明らかにした.
|