配分額 *注記 |
16,440千円 (直接経費: 15,300千円、間接経費: 1,140千円)
2007年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2006年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2005年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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研究概要 |
本研究ではTHz電気信号による光波制御,および光波によるTHz電気信号制御を可能とする機能素子を目指した研究を行った.以下に成果を要約する. (1)半導体量子井戸中の電子・正孔が示すTHz誘電応答とキャリアダイナミクスの体系的な解明:(1)ポリマーマイクロストリップ線路のTHz波伝搬特性を明らかにした.(2)量子井戸薄膜をマイクロストリップ線路に埋め込む技術を開発した.(3)量子井戸に光励起したキャリアによるTHzパルス伝搬の変化を明確に捉えた.(4)量子閉じ込めキャリアが示すTHz誘電応答が分極的なものであることを証明し,緩和時間がエネルギー緩和時間と考えられること,キャリア密度によって緩和時間が変化することなどを示した.(5)THzパルス伝搬の変化から光励起キャリアの緩和時間が観測できることを示した. (2)THzパルスによる光波の強度およびコヒーレント非線形光学応答の変調:十分な成果は得られなかった. (3)量子カスケードレーザ(QCL)で発生したCW-THz波による量子井戸光学応答の変調:低閾値,高強度化に必要なダブルメタル導波路型QCL,および同等の性能を簡便に実現できるGaSb/AlSb系THz-QCLの開発に成功した. (4)量子井戸の線形光学応答を利用したTHzパルスの伝播波形の空間軸での観測:現実的な素子を仮定した電磁界シミュレーションにより,空間軸での観測が十分に可能であることを示した. (5)単線導体によるTHzパルス波伝播特性の解明:単線導波における導電率の虚部の役割を明らかにし,電波と光波のクロスオーバー領域にあるTHz領域において,その役割が現われ始めることを示した. 以上総じて,THz領域の重要なデバイスである高機能マイクロストリップ線路および量子カスケードレーザーに関する技術が格段に前進し,また量子閉じ込めキャリアのTHz誘電応答という未解明の問題が解決できるなど,技術的にも学術的にも重要な成果を得た.
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