研究概要 |
キャビテーション衝撃力を活用して,ショットを用いずに,材料を表面改質するキャビテーション・ショットレス・ピーニングCSPを取り上げ,キャビテーション衝撃力の強力化と結晶の微細化に着目して研究を遂行した。 1.水中に高速水噴流を噴射するキャビテーション噴流において,噴射圧力ならびにキャビテーション気泡の崩壊場の圧力を増大させることによりキャビテーション衝撃力を強力化した。水中に低速水噴流を噴射して,その中心部に高速水噴流を噴射するキャビテーション衝撃力の強化方法を提案し,衝撃力を強力化できることを実証した。 2.CSPによる疲労強度向上について,CSPで処理した試験片の残留応力をX線回折式応力測定装置で評価した結果,疲労強度向上には残留応力が深く関わっていることを明らかにした。 3.X線回折を用いたファンダメンタルパラメータ法により結晶粒のサイズと結晶粒の粒内ひずみを評価できることを明らかにし,結晶粒のサイズと粒内ひずみが疲労強度向上に関わっていることを明らかにした。 4.インデンテーション試験を用いた塑性深さや弾性深さ,最大押込み深さの計測により,CSP面を評価できることを明らかにした。 5.CSPによるゲッタリング機構1の解明を目的として,ゲッタリングサイトとなるシリコンウェハ内のひずみを観察した結果,ゲッタリングサイトとなるひずみは,100nm程度の転位の集積であることを明らかにした。 6.本研究で開発したCSPにより歯車を処理した結果,キャビテーション流れを考慮することにより疲労強度を向上できることを実証し,機械部品等のCSPにはキャビテーション流れの考慮が必要不可欠であることを明示した。
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