研究概要 |
本研究は,代表的な多軸制御工作機械である5軸制御マシニングセンタの機構誤差及びサーボ誤差の工作精度に及ぼす影響を調べ,それぞれがどのように軌跡に現れるかを主目的として,次のような研究を行った. まず,主軸頭旋回形5軸制御マシニングセンタの検査方法としてISO規格に規定されているISO10791-6のK6の試験方法の有効性について検討したところ,ISO規格に規定されている試験方法に特に意味がないことを指摘し,それに代わる方法として同時5軸制御運動による方法を提案した.その提案した方法に基づいて測定した軌跡から幾何偏差を同定できることをシミュレーションによって示した.また,テーブル旋回形5軸制御マシニングセンタを対象として,ボールバーに代わる方法についても検討し,球と変位計とを用いる方法を提案し,幾何偏差をボールバーと同様に求めることができることを示した. 構造の幾何学的な偏差だけでなく,サーボ系の追従誤差を考慮した精度評価方法として,直進1軸と回転1軸とを用いる方法を提案した.この方法は,偏心した位置を中心とした円運動をさせることで,旋回軸の追従遅れを調べることができることを示した.さらにそれを発展させて,円すい台の仕上げ加工に及ぼす機構及びサーボ系誤差の影響を調べたところ,円すい台の仕上げ加工のときに,円すい台底面の中心位置及び傾き角は,測定結果に大きな影響を及ぼすことが明らかになった.また,バックラッシやウオームギアのピッチ誤差が仕上げ精度に大きな影響を及ぼすことも明らかにした.
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