研究概要 |
本研究では,磁気ディスク基板(以下,基板と記す)等の工作物を超高圧力・超高速度条件を用いて超高能率に両面研磨する技術の開発を目標に,研究代表者が考案した新概念両面研磨技術の構築を検討した.この方法では,既存の研摩方法のように,工作物の回転に工作物保持キャリアの外周部につけられた歯車機構を使用せず,工作物とポリシャの摩擦力で工作物を回転させるため,超高圧力・超高速度研摩条件が使用できる.以下,その検討結果の概要を示す. 1.新概念回転型両面ポリシング盤の改良 (1)基板の安定的回転方法の確立:最初の試作新概念回転型両面ポリシング盤では,基板の回転を,ポリシング定盤形状を特殊なものにすることで,基板に偶力回転摩擦力を付与していた.しかし,定盤成形が難しく,また,安定的回転を十分に行うのが難しかった.そこで,新たにポリシャ表面形状を変えて基板に偶力回転摩擦力を付与る方法を考案し,基板を十分安定的に回転することに成功した. (2)発生ポリシング熱の抑制・除去方法の確立 超高圧力・超高速度でポリシングを行うため,発生熱が格段に大きくなったが,定盤を水冷する方法を考案し,発生熱の除去に成功した. (3)ポリシング液による動圧力発生のポリシング特性に及ぼす影響の検討 高ポリシング速度では,ポリシング圧力を減少するような大きな動圧が発生し,ポリシング速度と除去速度の比例的増加関係がなくなる現象を見出し,その関係を検討し得た. 2.直線型ポリシング装置の設計試作 摩擦力のみで工作物を回転させる上記新概念定盤回転型ポリシング装置と同様な考え方で考案した直進型ポリシング盤の設計試作を試み,加工が可能であることを確認した. 3.新概念回転型両面ポリシング加工特性の検討 試作した新概念回転型両面ポリシング盤を用いて,超高圧力・超高速度ポリシン加工特性を検討し,ポリシング圧力およびポリシング速度が増加すると,基本的に除去速度が増加するが,基板平滑度には大きな影響を示さないことを見出した.
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