研究概要 |
心臓移植に代わる心臓病の治療,循環維持法として,高耐久埋め込み型人工心臓の実現が待ち望まれている.また,心臓移植までのつなぎ,心臓移植後の補助循環として,従来のメカニカルシールを用いたものにくらべ高い耐久性を有する使い捨てタイプの体外設置型血液ポンプに対する強いニーズもある.この社会的な要請に対して,コンパクトな磁気軸受を用いた体内埋め込み型遠心血液ポンプと,磁気軸受を用いた体外設置型ディスポーザブル血液ポンプの実現を目指した研究開発を実施した. その結果, 1)体内埋め込み型遠心血液ポンプに関しての成果 (1)外径65mm×高さ32.5mmの磁気軸受内臓としては世界最小の遠心血液ポンプを試作し,補助循環に必要な流量特性を達成した.また,モータドライバの改良,磁気軸受コア材質の検討を行い,モータの高効率化,磁気軸受の低消費電力化を実現した. (2)外径69mm×高さ28.5mmのチタン製の磁気軸受遠心血液ポンプを試作し,チタン隔壁採用に伴う,磁気軸受制御に不可欠な変位計測法の問題点や,モータの効率低下等の問題を明らかにした. (3)外径55mm×高さ28.5mmの次世代小型磁気浮上血液ポンプの設計を実施した(試作は19年度予定). (4)数値流体解析により,インペラに作用する流体力を計算し,インペラ・ロータの安定浮上,回転のための磁気軸受設計等の指針を得た. 2)体外設置型ディスポーザブル血液ポンプの成果 (1)昨年度の研究に引き続き,試作血液ポンプの溶血試験を実施し,製品として利用されている接触軸受を用いた血液ポンプの4〜5分の1以下の溶血を実現した. (2)昨年度の血液ポンプのインペラを,ベーン型から,コーン型に変更したものを試作し,ポンプ特性を評価した.
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