研究概要 |
機械の軽量・コンパクト化,高強度化,高信頼度化が要請されている現状の下,表面強さの向上とともにより確度の高い評価とその検証は重要な課題である.本研究では,伝動トライボ要素の表面強さのより確度の高い評価とその検証を行うため,クラウニングなどのマクロ表面形状および粗さ突起などのマイクロ表面形状を考慮して3次元接触応力解析を実施し,表面損傷・強さを評価するとともに種々のマイクロ・マクロ表面形状を有する歯車,ローラなどを用いて実験・検証した.すなわち,マクロ形状を考慮した解析・評価と歯車,ローラ,軸受試験による検証,および,マイクロ形状を考慮した評価と検証,ピーニングなどにより仕上げたローラを用いての2円筒試験による検証を行い,伝動トライボ要素設計のための新たな指針を与えることを目指した. マクロ形状に関して,面圧強さやトラクション係数に及ぼすクラウニング半径の影響について検討し,端荷重を発生させない軽微な条件においてはクラウニング半径が大きいほどローラの転がり疲れは向上する一方,クラウニング半径が小さいほどトラクション係数は大きくなる傾向にあり,高い転がり疲れ強さと高いトラクション係数を得るには最適なクラウニング半径が存在することを示し,伝動トライボ要素におけるクラウニング設計の重要性を明らかにした. また,マイクロ表面形状に関しては,ショットピーニング,ダブルショットピーニング,キャビテーション・ショットレス・ピーニングを施したローラーおよび歯車について,硬さ分布,残留応力分布,表面粗さを測定するとともに表面強さ・寿命に及ぼすこれらの影響を明らかにした.その結果,硬さ分布および残留応力分布を考慮した接触応力解析により求められた硬さに対する応力振幅を用いて表面強さ・寿命に及ぼす表面粗さの影響を明らかにした.
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