研究概要 |
本研究では,高密度燃焼が可能なナノポーラスアルミナ・白金触媒,再生熱交換器および断熱層を組み込んだ高効率マイクロセラミック触媒燃焼器,液体ピストンを用いた振動型マイクロスターリングエンジン,マイクロマシン・プロセスで製作され摩擦要素を持たない振動型静電誘導型発電器を用いることによって,燃焼型マイクロ発電器の先導設計を試みることを目的とし,以下の研究を行った. 1)触媒層製作技術の開発 燃焼用触媒層として工業的に応用可能な,コールドスプレー法でアルミ厚膜を形成し,陽極酸化によりナノポーラスアルミナを製作する新しい技術を開発し,触媒層として高い活性を持つことを示した. 2)マイクロ触媒燃焼器の設計・実験評価 流れと伝熱,表面反応を考慮した数値解析に基づいてマイクロセラミック燃焼器を設計し,試作した.精密セラミック積層技術を用いて,厚さ300-500μmの多層セラミックからなる触媒燃焼器を試作し,極めて大きな発熱密度が得られ,660℃まで安定燃焼可能であることを明らかにした. 3)セミフリーピストン・2相2成分小型スターリングエンジンの試作 比較的低温度で高効率・高出力の実現が期待できる2相2成分スターリングエンジンを選択し,セミーフリーピストンエンジンの試作を行った.ディスプレーサ断面積20cm^2,パワーピストン断面積15.5cm^2のエンジンを試作し,2相状態の場合,27Hzにおいて6Wの出力が得られることを示した. 4)フッ素系ポリマーCYTOPにより,極めて高い電荷密度を長時間持続可能であることを示し,発電器プロトタイプを用いた実験から,20Hzの低周波数振動において0.28mWが得られることを示した.また,MEMS技術を用いて,樹脂製の高アスペクト比バネに電極を埋め込む方法を開発した.振動子のプロトタイプを製作し,低い共振周波数を保ちながら,導電性を確保できることを示した.
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