研究分担者 |
角田 直人 九州大学, 工学研究院, 助教授 (70345437)
谷川 ゆかり (独)産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 主任研究員 (20344202)
酒谷 薫 日本大学, 医学部, 教授 (90244350)
星 詳子 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (50332383)
大川 晋平 電気通信大学, 電気通信学部, 助教 (20432049)
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研究概要 |
生体内の物質移動を知ることは生体の複雑な生理学的機能を明らかにする上で極めて重要である.近年,酸素輸送を生体外から無侵襲で観察する手法として近赤外光を用いたイメージングが注目されている. 近赤外光は生体内を拡散的に伝播し,その血液(ヘモグロビン)による吸収スペクトルが酸素化度に応じて変化する.このことを利用して酸素化・脱酸素化ヘモグロビン濃度分布の断層画像を描き出す拡散光トモグラフィ(DOT:Diffuse Optical Tomography)技術を用いて,筋肉や脳などの生体組織内酸素輸送を解明することを目的とした. 従来の連続光や強度変調光を用いたDOTでは,生体に照射した光を照射点の反対側の表面で検出できる場合(透過型DOT)には断層画像を得ることができる.しかし,生体が大きく,照射した光を反対側で検出できない場合(反射型DOT)では断層画像を得ることが困難である.このような場合にはピコ秒時間分解計測法を用いると断層像を得ることができる.本研究課題では,ピコ秒時間分解計測法による生体組織の反射型DOT画像から,脳内酸素輸送現象を研究した.本研究補助金による研究成果は以下の通りである.(1)透過型では測定が不可能な大きな生体に対しては,反射型DOTが可能であることをシミュレーションおよびヒト実験により実証した.(2)反射型DOTの画像の高性能化には,生体表面上に設置した光ファイバーによる照射点と検出点の位置を正確に測定することが重要であることを確認した. (3)ヒト前額部においては,暗算などのタスクによる血液量や血液の酸素化度の変動を反射型DOTにより画像化することができた.(4)反射型の計測結果を用いる脳機能の画像化において,DOTではなく,光マッピングを行う際,ヒト頭部の頭蓋骨層および脳脊髄液層の構造変化が画像に与える影響を明らかにした.
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