配分額 *注記 |
16,130千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 630千円)
2007年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2006年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2005年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
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研究概要 |
被乾燥物を加熱昇温する温風乾燥や逆に冷却する凍結乾燥とは異なり,加熱や冷却のためのエネルギーを使わず,常温下で蒸発潜熱のみを供給することによって高品位で高効率な乾燥を可能とするマイクロ波常温乾燥技術を新たに開発し,その有効性を示した.同時に,被乾燥物内部に存在するマイクロチャンネル内における気液相変化と水分輸送を考慮し,海産物の場合には気液界面抵抗が無視でき,チャンネル内の粘性抵抗が支配的であることを明らかにした.一方,乾燥に係わる固体面上の液膜についてのナノスケールの輸送現象を明らかにするために,アルゴン分子を用いた非平衡分子動力学シミュレーションによる解析を行ない,チャンネル壁における付着水の濡れ挙動を検討した.この分子動力学解析により,固体面上の微細構造によって液体の濡れ挙動が変化し,接触角の変化によって液膜の蒸発挙動に変化が生じること,および接触角と表面粗さとの関係を示す相関式が得られた.また,液膜厚みが分子直径の4〜6倍程度となると,固体壁の影響が現れ,蒸発速度は減少することを示した.さらには,滴状凝縮法によって気液界面の熱伝達率を測定し,その値から凝縮係数を評価することを行い,水の凝縮係数として0.5〜0.6の値を得た.ただし,薄膜温度センサーによる微小液滴の成長過程の直接測定を行えば,凝縮係数の値が0.7〜1.0に上昇する可能性があることがわかった.マイクロ波による水への選択的なエネルギー供給と減圧環境における蒸発温度の低下を特長として高品質,高速乾燥のための新たな提案(大気導入法,温度制御法)を行い,乾燥速度を温風乾燥に比べて約1/25に短縮することに成功した.
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