研究概要 |
超広帯域(UWB)無線に必要な3-20GHz帯の電磁波を任意の波形で発生できる波源をフェムト秒レーザ技術を応用して開発した。本電磁波源は,実際の通信応用のための信号源ではなく,UWB用アンテナ等の周波数特性計測,分散補償特性,無線LANなどのこの帯域における既存無線通信とのクロストーク特性を各種UWB変調方式について調べるためのものと位置付けた。 フェムト秒レーザパルスをファイバ伸長器によって線形周波数チャープを印加してナノ秒まで広げ,さらにその光スペクトルをコンピュータ制御液晶空間光変調器によって細かく振幅整形することで,ナノ秒レーザ波形を任意に整形できる光源を開発した。この光パルスを高速フォトダイオードで光電変換することにより,3-20GHz帯の任意波形に整形された電磁波の発生を実現した。とくに,超広帯域(UWB)無線に必要な,広帯域インパルス波形を精度よく発生できることを実証した。光電変換後は,電圧増幅可能であることからレーザパワーは微弱でもかまわず,コンパクトなフェムト秒レーザを用いて変調方式可変UWB用電磁波源が構築可能であることを明らかにした。 さらに,光電変換後に増幅し,UWB用アンテナを用いて50cmの送信受信実験を行った。増幅器,フィルタ,アンテナの周波数特性,とくに分散特性によって受信波形は光電変換直後の波形から逸脱するが,これらの素子の周波数特性をインパルス応答から求め入射レーザ波形でもって補償することで,UWBインパルス波形を受信することが可能であることを実験的に実証した。
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