研究概要 |
本研究では,伝送モードや伝搬路の状況に応じてリアクタンスドメインアンテナ,RFチューナ部,およびベースバンド信号処理部を統合的に制御することにより受信機の低消費電力化を図ることを検討した. 基本性能を明らかにするため,C/Nが低い状況では消費電力は大きいが雑音の小さいRFチューナを用い,一方,C/Nが高い環境では省電力モードのRFチューナを選択して用いることで,全体的な性能を低下させること無く平均消費電力を下げる適応チューナの性能について検討を行った.計算機シミュレーションの結果,消費電力を大幅に改善できることを明らかにした. 次に,受信信号品質の推定手法について検討をおこなった.復調器出力から得られるベクトル誤差情報を用いることでより正確な適応制御を行うことができることを明らかにした.また.変調信号ベクトル誤差情報からサブチャネル毎の受信信号対雑音電力比(SNR : Signal to Noise Power Ratio)を推定し,さらに,推定SNRからサブチャネル毎のビット誤り率を導出することで受信信号品質の推定精度の向上が可能となることを明らかにした. 次に,この誤り率推定値情報を用いてRFチューナの制御を行い消費電力を削減する方法を提案した.提案方式では,各サブチャネル毎のビット誤り率の推定値から誤り訂正後のビット誤り率の推定値を導出する。訂正後のビット誤り率が良好な範囲では、RFチューナのモードを低消費電力1モードに切り替え,一方,ビット誤り率が低下した状況になるとRFチューナのモードをよりNF (Noise Figure)が小さく受信感度が高くなるが消費電力の大きいモードに切り替える.この制御を行うことで,受信品質をほとんど劣化させること無く消費電力の削減が可能となることを明らかにした.
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