配分額 *注記 |
13,540千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 540千円)
2007年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2006年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2005年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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研究概要 |
社会基盤施設における大きな地震被害を防ぐためには近年増加している老朽化した既設鋼構造物の維持管理・補修を合理的に行い耐震安全性の確保をすることが重要な課題である.鋼構造物の場合,腐食断面欠損や補修の履歴により,構造物は部材の幾何形状の変化のみならず構造物内には応力の再配分が起こり,内在する残留応力や残留変形は初期状態とは大きく異なったものになる可能性がある.このような場合には構造物の耐震性に与える影響を無視できない.さらに,腐食の非対称性やこれによる残留応力や残留変形の非対称性,補修の非対称性により構造物の耐震性能評価には3次元的な挙動の検討も不可欠である.ここでは,鋼構造にとって重要な限界状態として塑性崩壊,座屈崩壊のほか延性破壊を対象として腐食や補修履歴のある場合の3次元耐震性能を評価する手法について検討した.まず、鋼構造物の将来の腐食欠損パターンやその大きさを予測するために,数値流体解析を利用する手法の適用性について検討した.つぎに,延性破壊を評価すために必要な腐食欠損による正確な局部的な幾何学的形状を計測するための新たな方法を提示するとともに,腐食鋼材の延性破壊を理論的に予測する手法を提示した.さらに,供用開始時から荷重が載荷されたまま腐食による部材断面欠損が進行する状況や,供用荷重作用下あるいは,様々なジャッキアップ法による補修の状況など,現実の腐食と補修の履歴を正確に評価できる3次元有限要素法を開発し,耐震性能評価法に反映した.以上の腐食と補修履歴を考慮した3次元有限要素法の実務への適用例として,ワーレントラス橋斜材のコンクリート床板埋め込み部の腐食による残留応力の変化と残存耐力への影響評価,コンクリート橋脚内PC鋼棒の腐食によるプレストレスの変化と残存耐力の評価,腐食した鋼管桟橋の繰り返し載荷による耐震性能の低下と補修効果の評価などについて具体的に示した.
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