配分額 *注記 |
13,530千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 930千円)
2007年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2006年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2005年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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研究概要 |
河川や湖沼などの水道水源域には,自然由来のフミン質や下水の生物処理工程で生み出される生物代謝有機物のほかに,産業・社会活動に起因する微量有機化学物質が数多く混入されている.なかには,極微量の濃度であっても,長期間の暴露によって無処置の生物とその子孫に悪影響をもたせるものとして,最近では,人畜由来の17βエストラジオール(E2)やエストロン(E1)などの天然女性ホルモン物質,ヒトと家畜の病気治療や予防に使用されている抗生物質が強く縣念されている.自然水域の保全,特に水道水質のリスクの軽減と未然防止を図るためには,水域内における関係物質の消長挙動を解明し,その挙動を診断・予測しうる手法を構築していくことが大変重要である. そこで本研究では,安全リスクが著しく高く,自然水域で普遍的に検出されている人畜由来の女性ホルモン類物質を主な対象物質とし,岐阜県を流下する長良川本川と支川の水と底泥,および閉鎖性ダム湖水域の底泥を用いた回分式実験・連続流式カラム通水実験を行い,対象物質の消長挙動と消長のメカニズムを評価するとともに,その動態の診断・予測するための数値解析を行った.また,自然水域における微生物の種と密度には下水放流水からの影響を受け,かつ,対象物質の存在量と形態には下水処理工程での生分解効率によって異なるため,半連続流式活性汚泥反応場における女性ホルモンの挙動とそれに与える操作条件や共存生物易分解性物質の影響も評価した.また,家畜の病気の治療や予防に多く用いられている抗生物質の挙動について,長良川の河床微生物を植種した生物活性炭充填カラムを用いて検討を行った.これらの一連の検討を通じて,対象物質の消長挙動と機構を明らかにし,系統的な予測手法の構築に寄与する有用な知見を多く得た.
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