研究概要 |
変動風力を受ける構造物の全ての部材に生ずる最大荷重効果を,一つの荷重分布で同時に再現するユニバーサルな等価静的風荷重の算定手法について研究した。先ず,大スパン片持ち屋根,高層建築物,ドーム屋根など,種々の建物モデルの多点変動風圧実験を行い,得られた変動風圧力を構造物のFEMモデルに作用させ,時刻歴応答解析によって全部材の最大荷重効果を求めた。ついで,変動風圧力のPOD規準モードおよび特異値分解を用いることによって,時刻歴応答解析で得られた全部材の最大荷重効果と同じ静的荷重効果をもたらすユニバーサルな等価静的風荷重が合理的に算定できることを明らかにした。さらには,様々な構造形式に対応するユニバーサルな等価静的風荷重の算定を行い,影響関数とともにデータベース化するとともに,準静的成分のみならず,最大荷重効果に共振成分をも含む場合に対しても,ユニバーサルな等価静的風荷重の算定が可能であることも示した。大スパン片持ち屋根に関しては,構造モデルの違い,風向角の違い,気流の違いによるユニバーサルな等価静的風荷重分布の変化も検討した。得られたユニバーサルな等価静的風荷重により再現される全部材の最大荷重効果を,従来からのガスト影響係数法や,準静的成分に対するLRC法による結果と比較検討し,どのような条件下においても,ユニバーサルな等価静的風荷重の方が高い精度で真の最大荷重効果を再現できることを示した。なお,ユニバーサルな等価静的風荷重の算定では,最大荷重効果の正負の組み合わせ方は自由であり,場合によっては,非常に不自然な分布が得られることがある。この問題に対しては,各部材の荷重効果の時刻歴波形のPOD解析を行い,その規準座標に基づいて,最大荷重効果の正負の組み合わせを合理的に定める画期的な手法を開発した。
|