研究課題
基盤研究(B)
本研究では,熱処理による自己組織的な単結晶基板表面の原子ステップパターンおよび、酸化物の気相薄膜プロセスを利用して得られた薄膜上ナノパターンを鋳型(モールド)として用い、大面積に一括でナノパターニングを行えるナノインプリント法によりバルクの酸化物ガラスの表面にナノ凹凸パターンを形成することを目指して研究を遂行した。酸化物薄膜上ナノパターンは、規則的な0.2nm高さの原子ステップを持つ超平坦サファイア(0001)基板上にエピタキシャル成長した薄膜を、ポストアニーリングを行うだけという簡便かつ1ステップのプロセスにて、その薄膜の表面全体に基板の原子ステップに起因した数nmの深さと30nmの幅を有するナノスケールの直線状溝構造を、自己組織化的に形成する。このように自己組織化的なナノ構造形成を利用して、基板のウェハーレベルでの大面積ナノパターンを形成することが可能になる。加えて、超平坦サファイア基板や酸化物薄膜の鋳型は、酸化物ガラスのガラス転移湿度付近の高温においても安定で、機械的強度も強く、また酸化物ガラスと熱膨張係数も近いため、ガラスをナノインプリント加工するための鋳型として鋳型の耐久性の観点からも、非常に優れていた。0.2nm高さの原子ステップを有する超平坦サファイア基板を鋳型として、ガラスにインプリントした時のガラス表面AFM像において、酸素原子約一個分の高さに相当する0.2nmの階段状ステップが、きれいにガラス表面に転写された。このようにサブナノメーターレベルのガラスインプリントに成功した例はこれまでほとんどない。さらに、得られたナノパターンガラスを薄膜作製用基板として用い、ナノオーダーで凹凸のある高配向性高性能透明導電膜の作製にも成功した。
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