研究概要 |
ペロブスカイト型酸化物は触媒を始めとする機能材料として極めて重要な化合物であるが、Bサイト金属イオンが規則的に配列したダブルペロブスカイトについての研究例は少ない。そこで本研究ではBサイト規則化ペロブスカイトを系統的に合成し、規則化に由来する特性を触媒反応により評価することを目的とした。 Ba-W系、Sr-W系、La-Ti系のダブルペロブスカイトの合成を行い、詳細な結晶構造をリートベルト法により解析した.その結果,立方晶、正方晶系の試料についてBサイトの規則・不規則構造を評価することができた。 各種ダブルペロブスカイトに関して、高酸素分圧下(O_2/C_3H_8=19.5)でのプロパン酸化活性評価を行った。その結果、触媒活性はB^<2+>カチオンに大きく依存することが明らかになった。3d遷移金属イオンを含有するダブルペロブスカイトはIIAやIIB族金属イオンを含有するものに比べて高いプロパン酸化活性を示した。今回評価を行った中ではCo系が最も高活性であり、触媒活性と標準生成エンタルピーの関係はCoを頂点とした火山型であった。すなわち、反応は酸化還元型で進行し、還元と再酸化がスムーズに進行する場合に最も高活性を示すと考えられる。 Ba-Co-W系酸化物を用いた炭素繊維合成反応において、BaCoO_3とWO_3及びそれらの混合物では、goo℃では前者の還元により生成するCoが触媒となり炭素繊維が生成したが、1000℃ではCoの凝集により生成量が低下した。一方、Ba_2CoWO_6では、1000℃で性状の異なる炭素繊維が確認されるなど、温度依存性や、生成炭素の性状に差が認められ、ダブルペロブスカイト生成による耐還元性の向上や、生成するCoの分散性の影響が示唆された。 メタノールのH_2,COへの光分解反応に対してLa_2ZnTiO_6とTiO_2と比較したところ,TiO_2がH_2生成選択的であるのに対し,La_2ZnTiO_6はCO生成選択性が認められた。
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