配分額 *注記 |
14,070千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 570千円)
2007年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2006年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
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研究概要 |
近年、斑岩銅鉱床の低品位鉱から銅を生産するためにヒープリーチング(露天掘り採掘した鉱石を野積みし、この上部から硫酸溶液を散布して銅分をイオンの形で溶出させ、溶媒抽出-電解採取などにより高純度の金属銅を生産する方法)が広く用いられるようになってきている。しかし、ヒープリーチングの対象は鉱床浅部に存在する酸化銅鉱や2次硫化銅鉱に限られ、鉱床深部の主要銅鉱物である黄銅鉱(CuFeS_2)は浸出速度が遅いので対象とできなかった。鉱床浅部の酸化銅鉱や2次硫化銅鉱はいずれ枯渇するので、黄銅鉱に適したヒープリーチング技術を開発することは重要である。 黄銅鉱は酸化反応で浸出されるので,従来は高い浸出速度を得るためには酸化的雰囲気(高い酸化還元電位)を保つべきだと考えられてきた。しかし,我々は過度に高い電位では黄銅鉱表面が不働態化して浸出速度が低下することをこれまでの基礎研究で明らかにしてきた。この知見に基づき,本研究では,酸化還元電位を制御することで黄銅鉱の浸出を高速化することを目指した。 平成17年度は,フラスコ浸出実験と電気化学実験により黄銅鉱浸出速度の電位依存性を調べ,浸出の最適電位がCu^<2+>、Fe^<2+>濃度の関数となることを明らかにした.平成18年度は,カラム浸出実験を実施し,鉱石堆積層の上部から散布する溶液のpHと電位の制御で黄銅鉱の浸出を促進できることを確かめた.平成19年度は,さらなる浸出改善法について数値シミュレーションとカラム浸出実験で検討し,散布液の組成と酸化還元電位を最適化すれば100日で約80%の銅浸出率が得られることを実証した。この値は二次硫化銅鉱などを対象とした現行のヒープリーチングの浸出速度に匹敵し、黄銅鉱のヒープリーチングを実用化できる可能性を示すものである。
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