配分額 *注記 |
15,550千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 1,050千円)
2007年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2006年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2005年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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研究概要 |
卵巣の主たる役割は,生殖細胞(卵)を供給することである。成熟した脊椎動物の卵巣では,内分泌制御の下で,濾胞成長,排卵,排卵後の組織修復とその後の分解というプロセスをそれぞれの種に特有の周期で繰り返す。メダカではこのプロセスが迅速に進行する。そこで,メダカ卵巣を材料として,排卵後の組織修復のメカニズムを明らかにすることを本研究の目的とした。本研究においては,以下の成果を得だ。 1.メダカ卵巣において排卵後の卵巣に残留する濾胞組織の挙動を形態学的に調査した。その結果,排卵後24時間以内で残留濾胞組織は消失することが明らかになった。 2.残留濾胞組織が消滅する過程では,細胞外マトリックスの分解と消失が起こる。そこで,濾胞組織に存在するコラーゲン(タイプIとタイプIV)の分布を調査した。これら2種のコラーゲンcDNAの単離,in situハイブリダイゼーション法によるmRNAの発現解析,さらに2つのコラーゲンに対する特異的抗体の作製,免疫組織化学的解析により局在の調査を実施した。コラーゲン(I型及びIV型)は,濾胞細胞層に局在し,それらの消失のタイミングは濾胞組織の消滅と一致した。 3.残留濾胞組織が分解と消失する過程に関与する分解酵素の探索を行なった。その結果,ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ(uPA)とゼラチナーゼBがメダカ卵巣に特異的に発現すること,さらに、これらの遺伝子及びタンパク質が残留濾胞組織に発現することを明らかにした。その他,残留濾胞組織に,哺乳類で同定されている組織カリクレインと相同の分解酵素遺伝子が発現することを明らかにした。ゼラチナーゼBと,uPAにより活性化すると予想されるプラスミンは,in vitroで細胞外マトリックス分子を分解することを確認した。よって,排卵後の残留濾胞組織の分解と消失の過程に,uPA/プラスミン系とゼラチナーゼBの関与が示唆された。
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