配分額 *注記 |
15,280千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 780千円)
2007年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2006年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2005年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
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研究概要 |
本研究は,シロイヌナズナの茎伸長に欠損を示す変異株acl5の原因遺伝子ACL5がポリアミン合成に関わることから,その茎伸長における作用機構の解明を目指して研究を進めた。 acl5の茎伸長が回復したサプレッサー変異株sac51〜54の単離,解析から, 1.sac51の原因遺伝子を同定し,それがコードする転写因子の翻訳効率の上昇が茎の伸長回復をもたらしていることを明らかにした。 2.sac52の原因遺伝子がリボソームタンパクRLP10Aをコードしていることを突き止めた。3.sac54について,原因遺伝子は機能未知のタンパク質をコードしていたが,そのT-DNA挿入変異株に花成遅延の異常を認め,SAC54が花成制御に関わることを明らかにした。 4.新たなサプレッサー変異を数株単離し,sac56がリボソームタンパクRLP4をコードしていることを示唆する結果を得た。 5.ヒメツリガネゴケのゲノムに3つのACL5相同遺伝子があることを突き止め,各cDNAを単離した。 一方,ACL5がスペルミンの構造異性体であるサーモスペルミンを合成する可能性について検討を加え, 6.植物へのサーモスペルミン投与実験から,acl5変異株の部分的な茎の伸長回復と,過剰に発現していたacl5遺伝子の野生型レベルへの低下を確認した。 7.植物から容易にスペルミンとサーモスペルミンを分離,検出する方法を確立し,野生株にあるサーモスペルミンがacl5変異株では検出されず,ACL5はサーモスペルミン合成酵素をコードすると結論された。 さらに,スペルミン合成酵素をコードするSPMS遺伝子についても,その欠損変異株の解析を行い, 8.スペルミンが乾燥や塩のストレス応答に機能することを明らかにした。 以上より,今後の研究発展につながる,植物の発生,生育におけるポリアミンの機能に関する重要な知見を数多く得ることができた。
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