研究概要 |
まず生殖細胞と生殖腺体細胞について生体内で細胞を可視化することによりその系譜と動態、制御するcis-elementとを明らかにした(Hano et al.,2005;Kurokawa et al.,2006;Nakamura et a1,2006;Hano et al.,2006;Saito et al.,2007;Nakamura et al.,2007). さらにメダカ生殖腺形成変異体の原因遺伝子探索ならびに表現型解析を行なった. このうち生殖細胞が異常増加する変異体totoroは、遺伝的雄のうちの半数が生殖腺・二次性徴ともに雄から雌への性転換することが明らかとなった.この原因遺伝子の同定に成功し,anti-Mullerianhormone receptor typeII(AMHRIIのキナーゼドメインのチロシン残基がシステイン残基に置換していることが明らかとなった.AMH/AMHRIIステムは哺乳類特異的な雄付属生殖器官の発達に関与していることが知られているが,この結果によりAMH/AMHRIIステムは性特異的生殖細胞増殖に関わっていることが明らかとなり、この機能がこの遺伝子の祖先機能であることが示唆された(Morinaga et al.,2007).この変異で見られる性転換は生殖細胞の増殖の結果と考えられたので、生殖細胞のないメダカを作製し解析したところ,totoroとは逆に雌から雄への性転換が認められた(Kurokawa et al.,submitted). 生殖細胞が減少し不妊となる変異体zenzaiの解析も行ない、原因遺伝子が膜表面抗原のひとつであることが明らかとなった(Saito et al.,unpublished).このzenzai変異体で生殖細胞を可視化し生体内で分裂過程を調べたところ,精/卵原細胞の維持する分裂時に障害があることが示唆された(Saito et al.,submitted)
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