研究課題
基盤研究(B)
多くの遺伝子のもつ情報を結合するというアプローチにより、真核生物における大きな単系統群の位置を明確にし、それら相互の関係と系統樹の根もとを解明することを目的として研究を行った。一般的に蓄積データの少ない系統の中で、ストラメノパイル、アルベオラータ、有中心粒類太陽虫、クリプト植物、紅色植物、フォルニケータ生物群などを中心に、細胞質のリボソームRNAや保存的タンパク質をコードする遺伝子を解析した。これらのデータを含め,最尤法により複数遺伝子の結合データ解析をさまざまなデータセットに対して試みた。その結果、以下の成果が得られた。(1)有中心粒類太陽虫をバイコント生物群の根もと近くもしくはアメーボゾアとオピストコントの間に位置づける系統樹が結合データ解析で候補系統樹として選ばれたが、有意なサポートは得られず、更なる検討が必要であると考えられた。(2)ハプト植物やクリプト植物がストラメノパイル/アルベオラータとともに大きなクレードの中に位置づけられるとする「クロムアルベオラータ仮説」を検証する解析を試みたが、この仮説へのサポードが強くないことが明らかとなった。(3)ペプチド鎖伸長因子EF1・およびEF2の解析から、フォルニケータに属する鞭毛虫Dysnectes brevisとそれに近縁な鞭毛虫NY0173がトリコモナスの分岐とディプロモナスの分岐の間に位置づけられることが明らかとなり、SSUrRNAの解析結果を支持した。
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