配分額 *注記 |
15,880千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 1,080千円)
2007年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2006年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2005年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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研究概要 |
本研究では,(1)熱帯地住人の熱放散反応特性を検討するため,タイ人と日本人の若年成人運動鍛錬者(T群)と非鍛錬者(U群)に対し,a)下肢温浴テスト(25℃環境下で下腿を42℃の湯に60分間浸す),b)自転車運動テスト(35%,50%,65%VO2maxの自転車運動を各20分間,計60分間連続負荷),c)アセチルコリン(ACh)誘発性発汗テストを実施した.さらに(2)その発育・老化特性を検討するために,タイ人の思春期前男児,若年成人男性,高齢者男性および日本人の若年成人男性,高齢者男性に対し,上記a)とc)のテストを負荷した. (1)タイ人は日本人に比し発汗より皮膚血流量により依存した熱放散特性を有すること,タイ人でも抑制された発汗機能を長期的運動トレーニングで亢進できることが下肢温浴と自転車運動テストで明らかにされた.このタイ人の長期暑熱順化および長期的運動トレーニングに伴う発汗機能の修飾は,ACh誘発性の軸索反射性発汗および直接刺激性発汗でも観察されたことから,交感神経節後線維や汗腺それ自体の修飾に起因することが示唆された. (2)タイ人においても,日本人と同様に,若年成人に比し,思春期前児童は発汗より皮膚血管拡張に依存した熱放散特性を有すること,高齢者は低い発汗量と皮膚血流量を有すること,児童や高齢者の低い発汗量は低い単一汗腺出力(SGO)に起因すること,が下肢温浴テストで明らかにされた.ACh誘発性発汗テストにおいて,若年成人に比し,児童は直接刺激性発汗が有意に低く(軸索反射性発汗には年齢差なし),この低い発汗量は活動汗腺数(ASG)ではなく,低いSGOに起因した.高齢者は低い軸索反射性と直接刺激性発汗を示し,この低い直接刺激性発汗は低いASGand/or SGOにそれぞれ起因した.以上のように,タイ人の汗腺機能にも発育・老化特性は観察されるものの,その変化は日本人より小さかった.そのため,長期暑熱順化が汗腺機能を抑制する影響は,若年成人でより顕著だった.
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