配分額 *注記 |
16,150千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 750千円)
2007年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2006年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
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研究概要 |
作物の根は,培地の環境条件に応じて,長さや分枝などの外部形態だけでなく,内部構造にも差異が生じる.とくに皮層の最外層と最内層に当たる外皮・内皮では,細胞壁の2次修飾に変化が生じることが知られている.本研究では,イネ科作物の根について,乾燥・過湿あるいは塩や浸透圧などのストレスが加わったときの反応を調査した.乾燥に対しては,イネの内皮において細胞壁の肥厚がみられたが,その程度は耐乾性が高い陸稲品種で著しく,さらに細胞壁へのケイ素の沈着量も耐乾性品種で大きかった.こうしたイネの内皮細胞壁の肥厚は,湛水条件下では抑制されていた.一方,畑作物であるコムギの内皮細胞壁においては,湛水による嫌気的条件下での肥厚は,好気的条件下と同程度もしくはやや厚くなっていた.さらに,コムギとトウモロコシでは,嫌気的条件下で窒素をアンモニア態で与えた場合には,硝酸態で与えた場合に較べて,内皮細胞壁の肥厚とリグニン化が顕著であった.こうした畑作物の根の反応は,嫌気条件下において培地中の物質の還元により発生する有害物質の中心柱への浸入を低減することに関わっている可能性が考えられる.塩ストレスについては,根における外部ストレスや有害物質への防御機構に関わると考えられているカスパリー線に着目して研究を行った.イネ種子根において,塩ストレス下では内皮・外皮のカスパリー線の形成部位が根の先端に近づく傾向が見られた.そこで,カスパリー線形成の開始が本当に早まっているのかを確認する目的で,イネ種子根の片側にだけマンニトールによる高浸透圧処理が加わるような実験系を考案し,1本の根の内部の左右が,同一のageでありながら処理側と対照側に分かれるような根を作って観察したところ,処理側は,対照側に較べて,カスパリー線の形成開始期は違わないものの,その後のスベリン層の発達が早まっていた.
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