研究課題/領域番号 |
17380020
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
園芸学・造園学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森 仁志 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授 (20220014)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
15,800千円 (直接経費: 15,800千円)
2006年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2005年度: 11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
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キーワード | エチレン生合成 / タンパク質のリン酸化 / タンパク質の脱リン酸化 / ACC合成酵素 / 翻訳後制御機構 / 代謝回転 / タンパク質のリン酸化制御 / タンパク質脱リン酸化酵素 |
研究概要 |
エチレンはガス状の植物ホルモンであり、高等植物の一生を通じて様々な成長段階で重要な働きをしている。とりわけ果実の成熟や野菜・花卉の老化など、園芸作物に与える影響は極めて大きく、エチレンの作用を人為的に制御することは、園芸分野において重要な課題である。我々はエチレン生合成経路の鍵となるACC合成酵素がリン酸化によって、その酵素の安定性が制御されていることを明らかにしてきた。今年度は、1)LeACS2の半減期と2)LeACS2の脱リン酸化段階を制御する因子の探索を行った。傷害を与えた果肉組織におけるLeACS2の蓄積量は、PK inhibitor処理により減少し、PP inhibitor処理により増加した。パルス-チェイス法によりLeACS2の半減期を求めたところ、70分であった。LeACS2の半減期は、PK inhibitor処理により短くなり、PP inhibitor処理により長くなった。また、LeACS4の半減期は250分で、LeACS2に比べ著しく長いことが分かった。これらのことから、ACC合成酵素の代謝回転におけるリン酸化の重要性が示された。また、okadaic acidやcalyculin Aは、多様なプロテインホスファターゼのうち、PPPファミリーの分子種の活性を阻害するため、LeACS2の脱リン酸化を担うプロテインホスファターゼがこのファミリーに属するものであることが推測された。次にLeACS2の脱リン酸化段階を制御する因子を同定するため、トマト果実のタンパク質とLeACS2由来の擬リン酸化ペプチドを反応させたところ、33kDa, pI9.0のタンパク質が特異的にペプチドに結合した。このタンパク質を質量分析により解析した結果、ペクチンメチルエステラーゼ(PME)であることが分かった。PMEは細胞壁の分解・再構築に関わる酵素として知られているが、ACC合成酵素の代謝回転との関連についてはこれまでに報告されていない。リン酸化LeACS2を脱リン酸化から保護する働きなどが考えられたが、本研究ではその機能を確認することはできなかった。今後はLeACS2の翻訳後制御におけるPMEの役割を明らかにするとともに、リン酸化LeACS2を脱リン酸するプロテインホスファターゼを同定する必要がある。
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