研究課題
基盤研究(B)
イネで長期残効型薬剤の育苗箱処理が広く普及し、水田における薬剤防除回数の削減に大きく貢献したが、耐性菌の出現により脱水酵素阻害型メラニン合成阻害剤(MBI-D剤)のいもち病防除効果が各地で低下している。また、新たなストロビルリン系薬剤(QoI剤)の登場により、耐性菌の発生がいもち病でも危惧される。そこで、MBI-D剤、QoI剤に対する耐性菌を、網羅的かつ迅速に検出できる新しい遺伝子診断技術を開発する。MBI-D剤耐性菌におけるシタロン脱水酵素遺伝子の1塩基変異に基づいてDNAオリゴプローブを作製し、PCR-Luminex法によって耐性菌と感受性菌を識別する方法を確立した。野生型チトクロームb遺伝子をもつQoI剤感受性菌を用いて、部位特異的突然変異法によりQoI剤耐性変異をもつプラスミドを作出した。また、この耐性変異をPCR-RFLPやPCR-Luminex法、リアルタイムPCRにより検出することを可能にした。最近イネ種子の流通によるMBI-D剤耐性菌の広域伝搬が問題化している。そこで、MBI-D剤耐性及びQoI剤耐性をもたらすシタロン脱水酵素遺伝子やチトクロームb遺伝子の変異を、培養菌体から精製したDNAのほかイネの罹病種子や葉から直接抽出したDNAを用いて、PCR-Luminex法で特異的に診断することに成功した。以上のように、いもち病防除剤として重要なMBI-D剤とQoI剤に関して、耐性菌の同時迅速・ハイスループット遺伝子診断法を開発した。今後この方法は、耐性菌の発生、蔓延による被害の未然防止に活用されることが期待される。なお、PCR-Luminex法の採用は、作物保護などの農業分野においてこれが世界で最初であり、将来は病原微生物の遺伝子診断・同定などにも幅広く活用されよう。
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