研究課題
基盤研究(B)
まず、カイコ孵化幼虫へのマイクロビーム照射方法を考案し、動きの激しい微小動物を対象とした重イオン照射実験の技術的基盤を確立した。これにより、すでに確立しているカイコ卵及び4・5齢幼虫への局部照射法を適宜選択することにより、カイコの全発育ステージで重イオン局部照射が可能になった。次に、重イオン損傷を受けたカイコ造血器官の再生機構を追究し、重イオン照射後の再生過程は「循環血球(顆粒細胞等)による損傷細胞の貪食排除過程」と「循環血球(おそらく原白血球)の侵入及び増殖過程」から成ることを明らかにした。また、重イオン照射後の崩壊過程に特異的なマーカータンパク質を2種検出し、現在、発現等の詳細を解析中である。一方、脱皮変態に伴って様々なタイプのクリクラを分泌するカイコ幼虫の真皮細胞に重イオン局部照射を行い、形質発現に及ぼす影響を調査した。その結果、カイコの真皮細胞は、200Gy照射でもアポトーシスが起こらず、変態後、鱗毛形成が阻害されることが分かった。また、皮膚の一部が瘤状に隆起する突然変異「コブ、Knubbed,K」個体への重イオン局部照射の影響を調査した結果、コブ形質が消失し、真皮細胞の形態もほぼ正常に回復することが明らかになった。これらの結果から、幼虫真皮細胞は重イオン耐性が極めて強いこと、重イオン照射は有糸分裂を阻害することが示唆された。なお、創傷を受けた真皮細胞の治癒初期過程においては傷付近に多数の血球が集まり損傷細胞を排除するが、重イオン損傷細胞では血球が反応しないことが明らかになった。
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