研究課題/領域番号 |
17380062
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用生物化学
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
上村 松生 岩手大学, 農学部, 教授 (00213398)
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研究分担者 |
伊藤 菊一 岩手大学, 農学部, 教授 (50232434)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
14,190千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 990千円)
2007年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2006年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2005年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | 環境適応 / 細胞膜 / タンパク質 / 低温誘導遺伝子 / 凍結傷害 / 低温馴化 / 凍結耐性 / マイクロドメイン / 低温応答遺伝子 / シロイヌナズナ |
研究概要 |
温帯性植物の低温馴化過程で特異的な増加がみられる細胞膜タンパク質の機能について、凍結傷害発生の初発部位である細胞膜の凍結脱水過程の挙動に注目して解明することを目的とした。最初に、低温に応答して細胞膜に蓄積するシロイヌナズナLipocalin-like protein(AtLCN)を過剰発現させた植物体が野生型より高い凍結耐性を示すことを見出し、AtLCNが特定の凍結傷害機構(凍結過程で起こる凍結脱水により収縮した細胞が、融解過程に起こる吸水による膨張に耐えられずに破裂する機構)の発生を抑えていることを明らかにした。さらに、AtLCNは細胞膜のスフィンゴ脂質に富んだマイクロドメインの外側に局在すること、シロイヌナズナ細胞膜や細胞膜から抽出した脂質画分、さらには、細胞膜に微量に存在する酸性リン脂質(ホスファチジルセリンやホスファヂジルグリセロールなど)と相互作用することを明らかにした。また、これらのAtLCN反応性リン脂質を含む脂質小胞の凍結融解過程における膜融合を特異的に阻害することも判明したことから、AtLCNが細胞膜に存在する酸性リン脂質と電気的に相互作用し、その結果、細胞膜と他の細胞内膜系が凍結脱水過程で融合するのを防ぎ、凍結耐性の増加に貢献しているという仮説を提唱した。一方、細胞膜マイクロドメインに局在するタンパク質の網羅的同定と低温馴化の影響についても研究を進め、細胞の様々な機能に重要な働きをするタンパク質、具体的には、細胞膜-細胞壁の相互作用(細胞骨格)に関するもの、細胞内膜輸送系に関わるもの、膜輸送に関するものなどが局在することをプロテオーム解析によって明らかにした。その中でも、膜修復に関係するタンパク質(シナプトタグミン)に注目し、氷晶形成による機械的ストレスによる傷害修復に関係していることを見出した。最後に、細胞膜の凍結融解過程での挙動に影響を与える要因として、適合溶質の蓄積などの解析を細胞レベルや高等植物の祖先系である緑藻類を用いて行い、個体レベルや高等植物と異なる機構があることを提唱した。
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