研究課題
基盤研究(B)
これまでの研究でマウス及びラット由来の中性セラミダーゼは、形質膜表II型糖タンパク質として存在すること、また、形質膜表層でセラミドを代謝することでなスフィンゴシン、スフィンゴシン 1-リン酸(SIP)量を調節することを明らかにしている。本研究では、ゼブラフイッシュ初期発生系を用いて、本酵素が脊椎動物の初期発生にどのような機能を持つかを明らかにすることを目的としている。ゼブラフイッシュの中性セラミダーゼ(znCD)をアンチセンスモルフォリノオリゴにより特異的にノックダウンすると初期発生、特に血管系及び心臓の形成に顕著な異常を引き起こすことを見いだした。血管内非細胞にEGFPを発現するトランスジェニックゼブラフイッシュを用いた解析によって、znCDノックダウン胚では体節間血管は間腔を形成せず、背側大動脈の血管内皮細胞は正常に配列しないことが分かった。さらに、heart tubeの伸長遅延、心筋細胞の配列の乱れといった心臓形成不全を起こしていることが分かった。このようなznCDノックダウン胚の表現型は、S1P受容体S1p_1のノックダウン胚でも同様に観察された。以上の結果は、znCDはS1Pシグナリングを介して血管や心臓等の循環器系の発生に重要な役割を果たしていることを示している。ワカメメカブから精製した中性セラミダーゼの構造をNMR, MS等を用いて解析した結果、本化合物は分子内に酸アミド結合を持ち、セラミドとほぼ同じ骨格を持つことが明らかになった。
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