研究課題
基盤研究(B)
アポリポタンパクE(アポE)は主に肝臓で合成される糖タンパク質で、体循環系ではVLDLやカイロミクロンレムナントの主要アポタンパクとしてリポタンパク代謝に重要な役割を担っている。一方、脳神経系で発現するアポEはシアル酸修飾を受け、ヘテロな分子種として脳髄液中に存在している。ヒト・野生型アポE2、E3、E4及び様々なアミノ酸置換変異体cDNAを組み込んだアデノウィルスベクターを構築し、ヒト・グリオーマ細胞にて大量発現を行った。また、このアデノウィルスをアポE-KOマウスより調製した腹腔マクロファージに感染させたところ、グリア細胞と同様にシアル酸による修飾を受けることが明らかとなった。PCRを用いたアポEのアミノ酸置換変異体の解析から、主要なシアル酸修飾はSer290に付加するムチン型糖鎖への結合であることが示唆された。アポEをリガンドとするリポタンパク受容体はLDLR、VLDLR、ApoER2及びLRP1などが知られている。この中でもVLDLR及びApoER2は神経細胞の移動及び配置決定を制御する分子であるリーリンの受容体としても機能している。中枢神経系のリポタンパク代謝におけるこれら受容体の機能を解析するために、NPC1マウスとのダブルノックアウト作製した。VLDLRとNPC1の両方を欠損した場合、著しい小脳の形成不全と神経細胞の移動及び層構造形成障害が観察された。すなわち、VLDLR・NPCI DKOマウスにおいて観察された著しい小脳の形成不全と神経細胞の移動及び層構造形成障害は、このマウスで機能している(欠損していない)他の受容体、LDLR又はApoER2の機能が減弱されているためであると考えられた。とくに、神経細胞の移動及び層構造形成障害が観察されたことはApoER2への機能障害が強く示唆された。
すべて 2008 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (16件)
Endocrinology 146
ページ: 3286-3294