研究課題/領域番号 |
17380186
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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研究分担者 |
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40155891)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
2006年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2005年度: 11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
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キーワード | 犬 / リンパ系腫瘍 / リンパ腫 / 化学療法 / 薬剤耐性 / 微小残存病変 / MRD / 動物モデル / mdr1 / p53 / 予後 / 分子病態 / P-糖タンパク / p53遺伝子 |
研究概要 |
これまで約30年間にわたって犬のリンパ系腫瘍に対する化学療法に関する多くの臨床研究が行われてきたが、治療成績の明らかな改善は得られておらず、現行の化学療法による治療成績には大きな壁が存在する。そこで、分子病態解析にもとづいた治療法を開発することを目的として本研究を計画した。 薬剤耐性に関しては、薬剤排出ポンプ、薬剤代謝関連分子、細胞周期関連分子、アポトーシス関連分子などを検討した。その結果、薬剤排出ポンプの1つであるP糖タンパク(P-gp)の発現量増加および細胞周期/アポトーシス関連分子であるP53をコードする遺伝子の変異が薬剤耐性に関与していることが示された。とくに、P-gp発現腫瘍においては、P-gpの基質とならない薬剤を選択することにより、より有効な治療方針を立てることが可能となった。 次に、遺伝子再構成を起こした免疫グロブリン遺伝子およびT細胞レセプター遺伝子のコピー数を定量するアッセイ系を確立した。これにより、化学療法後に残存する微量な腫瘍細胞、つまり微小残存病変(Minimal residual disease, MRD)を定量することが可能となった。MRDは完全寛解時においても検出され、再発の1~2ヵ月前から徐々に増加していた。また、化学療法終了時におけるMRD量は再発が起きるまでの寛解期間の長さと負の相関を示した。これらの結果から、MRD量は異なった化学療法プロトコールの有効性を客観的に評価するための好適なツールとなると同時に、寛解期間や再発を予測するための予後因子になることが示された。さらに、MRD量の測定結果にもとづいて化学療法を行うテーラーメード医療の道が開かれた。 犬のリンパ系腫瘍は人の動物モデルとしても注目されており、今回の研究は人のリンパ系腫瘍に対する治療法開発にとっても有用な知見を提供するものである。
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