配分額 *注記 |
15,930千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 1,230千円)
2007年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2006年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2005年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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研究概要 |
自然免疫系のMD-2タンパク質は細菌のリポ多糖(LPS)を認識し,細胞表面の受容体のToll-Like Receptor 4(TLR4)に認識情報を伝達する共受容体である。細菌感染による重篤な敗血症ショックは,このLPSへの過度の応答により惹起される。研究では,これらタンパク質によるLPS応答の構造的な要因をX線結晶構造解析により明らかにするため,MD-2の発現,精製,性状解析,結晶化とX線解析などを行った。 ヒトとマウスのMD-2について,大量発現,精製,結晶化を行った。ヒトMD-2の結晶は双晶または混晶の兆候を示したが,単結晶を得てX線回折データを測定した。その結果,ヒトMD-2単体およびリピッドIVaとMD-2の複合体の結晶について,高分解能での三次元構造の解析に成功した。 リピッドIVaは,エンドトキシンであるLPSの骨格部を成すリピッドAの前駆体であり,ヒトではアンタゴニスト,マウスではアゴニストとして働く。MD-2の疎水性ポケットに結合しているリピッドIVa複合体の三次元構造から,エンドトキシンの認識に関する詳細な構造知見を得た。また,ヒトMD-2単体の結晶では,3分子脂肪酸様の分子を見出すことができた。 エンドトキシンのアゴニストは,MD-2とTLR4の受容体系を活性化することから,ヒトTLR4の細胞外ドメインの大量発現系の構築に向けて,昆虫細胞由来の宿主などを用いて研究を進めた。また,リピッドAなどのアンタゴニストとヒトMD-2との複合体の共結晶化と,結晶のX線回折法による評価も行った。 研究により得た三次元構造の知見は,LPS応答を遮断する敗血症治療薬の開発に有効な構造知見をもたらすと期待される。
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