配分額 *注記 |
12,360千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 960千円)
2007年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2006年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2005年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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研究概要 |
我々が開発したカテキンの立体構造の平面固体化反応を利用して,フラボノイドの多様な生物活性と薬物動態が制御された新しい予防物質の開発を行い,以下の研究成果を得た. 1)天然カテキンにアセトンを反応させて合成した平面型カテキン(PC1)と長さの異なるアルキル側鎖(n=2〜9)を導入して脂溶性を増強させた平面型カテキン誘導体PC2〜PC9を合成し,がん細胞(HL60およびU937)に対する増殖阻害効果について検討を行った.その結果,カテキンの立体構造を平面に固体した平面型カテキンは強力な抗酸化効果とともにがん細胞に対してアポトーシス誘導して増殖阻害作用を示すことが明らかとなった.また,その作用はアルキル側鎖を長くして脂溶性が向上すると増強することがわかった. 2)脳疾患改善薬として生理的条件下でも強力なラジカル消去能を有する脂溶性平面型カテキン誘導体について検討を行った.その結果,リジンを平面型カテキンに導入した誘導体は,中性条件下でもフェノール性水酸基の脱プロトン反応が容易に進行し,生成したフェノキシルアニオンは酸化電位が低くなることにより非常に強力なラジカル消去能を示すことを明らかにした. 3)様々な置換基を導入した平面型カテキン誘導体の合成とラジカル消去活性の解析を行い,ラジカル消去能に対する置換基のpKaの影響について検討を行った.その結果,平面型カテキンにアルコールやカルボン酸を導入してもラジカル消去能には影響を与えなかったが,アミノ基を導入した平面型カテキン誘導体は飛躍的なラジカル消去能の増強がみられた. 以上,平面型カテキンについて生物活性を解析し,生活習慣病の予防薬へと利用するための分子設計について基礎的知見を得ることができた.今後は対象とする疾病に対して選択的かつ効果的に予防効果を発揮させることを目的としたフェノール性抗酸化剤の設計と合成を行う予定である.
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