研究課題/領域番号 |
17390039
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山添 康 東北大学, 大学院薬学研究科, 教授 (00112699)
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研究分担者 |
宮田 昌明 東北大学, 大学院薬学研究科, 助手 (90239418)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2006年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2005年度: 11,100千円 (直接経費: 11,100千円)
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キーワード | flutamide / 肝障害 / Sult2a / lithocholic acid / CYP3A4 / ampicillin / cholic acid / TCPOBOP / モデル動物 / 毒性機序 |
研究概要 |
ヒト特異的な肝障害の機序を解明するとともにその予測系を開発ずるために、ヒト特異的に肝障害を誘発する、前立腺癌治療薬のflutamideと胆汁酸負荷モデルの2つの手法で研究を実施した。Flutamideを用いた研究によりヒトでの詳細なflutamide代謝が明らかになるとともに障害誘発に関与すると考えられるFLU-1-N-OHの生成が主にヒトCYP3A4で行われることが明らかとなった。一方マウスではCyp3a以外の関与が示唆され、種差が認められた。またflutamide主代謝物のFLU-1を用いてマウスによる肝障害モデルの作製に成功した。この結果はFLU-1-N-OH体の障害誘発に対する関与を支持するものであった。このモデルを用いることにより障害誘発の機序の解析が可能となると考えられる。薬物誘発性の遅延性障害は薬物単独ではなく生体内物質(胆汁酸、ステロイド)と影響し合って発症するという仮説に基づき、ヒトと実験動物との薬物性肝障害誘発の種差に関与する可能性が考えられる胆汁酸排泄能に着目して胆汁酸負荷モデルを用いて障害機序の解析を実施した。胆汁酸負荷モデルの一つとして胆汁諺滞を誘発することが知られているlithocholic acid(LCA)を用い、肝障害とそのバイオマーカーと成りうると考えられる硫酸砲合型胆汁酸の動態について解析し、血清中taurolithocholic acid sulfate(TLCAS)が肝内の障害レベルや胆汁酸レベルをよく反映することを明らかとした。さらに胆汁酸負荷モデルとしてコール酸を用いる実験系で抗菌薬のアンピシリンが障害を増強することを明らかにした。アンピシリン単独では障害が認められないことより、内在性物質のコール酸との相互作用の可能性が示唆された。このコール酸とアンピシリンの系は薬物が内在性物質と影響し合って肝障害を誘発する一つのモデルと考えられ、新しい障害誘発の機序の解明に繋がる可能性が示唆された。またコール酸にコレステロールを併用することにより障害が軽減された。機序の解析の過程で胆汁排泄機能以外に消化管での胆汁酸吸収能が障害のレベルを決定する因子と成ることが明らかとなった。これらの胆汁酸負荷モデルの解析により薬物が内在性物質と影響し合って肝障害を誘発する機序の解明のための実験系が得られた。これらの実験系を用いて内在性物質を介する新規障害誘発の機序を解析することでヒト特異的な肝障害機序の解明に繋がると考えられた。
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