研究課題
基盤研究(B)
研究計画として掲げた3点について、以下の成果が得られた。1.小Maf群因子の機能解析:C末端領域の欠失体MafGDCは、mafG欠損マウスにおける巨核球球胞体突起形成の障害をレスッキューすることができなかった。巨核球において小Maf群因子のGCRの重要性が明らかになったので、その領域に相互作用する因子を酵母two hybrid screeningにより探索した。その結果、巨核球におけるMafGの2量体形成相手分子であるNF-E2 p45が、全長MafGとは結合するものの、MafGDCとは結合しないということがわかった。興味深いのは、NF-E2 p45の関連因子であるNrf2は、MafGとヘテロ2量体を形成して酸化ストレス応答に重要な遺伝子の活性化をすることがわかっているが、Nrf2は、MafGDCとも結合するということである。すなわち、GCRは2量体形成相手分子の選択に貢献している可能性が示唆される。2.p45の細胞内局在のコンパートメントにおける機能の検討:Flagタグのついたp45を発現するトランスジェニックマウスを作成した。現在得られたラインの発現量の解析を行っている。また、レトロウイルスベクターを用いて巨核球系細胞MEG-01にFLAG-HA-Hisトリプルタグをつけたp45を安定に発現させ、そこに相互作用するタンパク質複合体の精製を進めている。3.NF-E2(p45-MafGヘテロ2量体)の標的遺伝子の解析:PPFが障害されている小Maf群因子欠損マウス由来の巨核球と、そのコントロールマウス由来の巨核球との間の、mRNAサブトラクションで得られた新規分子クローン325の遺伝子破壊マウスを作成した。このマウスの末梢血中血小板数は、野生型のものと変わりがなかった。今後は、抗血小板抗体の投与、抗がん剤など、骨髄抑制をかける薬剤を投与して、血小板産生が起こる時になにか違いがないかどうかを検討する。NF-E2 p45欠損マウス由来の巨核球のトランスクリプトーム解析を行った。その結果、血小板の構成因子や血液凝固系因子が軒並み減少しており、一方、M2の標的遺伝子として知られている異物代謝第2相酵素群、抗酸化ストレス応答遺伝子群などが顕著に上昇していることがわかった。
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