研究課題
基盤研究(B)
NHK-1はヒストンH2AのC末端のみをリン酸化することを明らかにした(Genes Dev 18, 2004)。部位特異的な抗リン酸化抗体を用いてがん細胞を染色すると癌細胞では高率に陽性細胞を認めた。またこのNHK-1の発現を下げると細胞増殖が抑えられることを見つけた。これらの所見はこのリン酸化部位が大変重要であることを示唆する。このリン酸化部位のアミノ末端側の119番目のリジンはユビキチン化される部位でありクロストークが予想される。このユビキチン化は1975年に発見された翻訳後修飾であるが明らかな機能はわかっていない。平成17年度の研究ではユビキチン化ヒストンを精製し、試験管内でクロマチンの再構築を行なうことに成功した。さらにこのユビキチン化ヒストンを用いて形成したクロマチンは遺伝子転写を抑制することを明らかにした。ユビキチン化ヒストンH2Aは1975年最初に同定されたユビキチン化蛋白であるが、ユビキチン化の機能は明らかでなかった。このユビキチン化ヒストンはクロマチン中に〜5%存在し、哺乳類の肝臓切除後の肝臓再生において劇的に変化することが知られている。我々は肝臓再生のモデルにおいてユビキチン化ヒストンが抑制性のクロマチンと挙動を共にすることを明らかにした。さらにこのユビキチン化ヒストンは遺伝子転写のイニシエーションを抑制することを明らかにした。
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