研究課題
基盤研究(B)
cAMP依存的転写因子CREBは細胞の生存、代謝、記憶などに深く関わることが知られている。CREBはN末端側に転写活性化領域を、そしてC末端側にDNA結合領域(b-ZIP)を持つ。これまでの多くの研究は、転写活性化領域に焦点を合わせてきた。そしてこの領域に存在するSer133のリン酸化レベルがCREBによる転写のON/OFFを決定するとされている。しかしSer133がリン酸化されても転写活性化が起こらない例や、逆にSer133が非リン酸化状態でもCREB依存的転写が見られる例も報告されている。我々が発見した新規プロテインキナーゼSIKはCREBを特異的に活性化する転写共役因子TORCをリン酸化する。その結果TORCが不活性化されCREBによる転写が抑制される。しかし細胞内ではSIK、TORC、CREBの3分子だけでなく、その他の遺伝子調節因子のリン酸化-脱リン酸化現象とそれらの因子の細胞質-核間移動が複雑に関わっていると予想される。本研究においてはSIK、TORCのリン酸化レベルと細胞質-核間移動、その結果としてのCREB活性の制御を中心に、培養細胞レベルおよび遺伝子改変マウスレベルで解析した。その結果、(1)細胞内ではSIK-TORCシステムの上流にあるLKB1というプロテインキナーゼがSIK-TORC-CREBのシグナル伝達を作動させるのに重要である。(2)TORCのSIKによるリン酸化部位、TORCのカルシニューリンによる脱リン酸化部位、TORCの細胞内局在、そしてCREB活性の関連を解析した結果、TORCのリン酸化-脱リン酸化に関する限り、SIKとカルシニューリンの陰陽の関係は見いだされない。(3)SIKシグナルを阻害する薬剤をスクリーニングした結果、スタウロスポリンが有効な阻害作用を持つ。(4)スタウロスポリンを動物に投与すると肝臓の糖新生の活性が高まる。(5)SIK2遺伝子破壊マウスではTORC-CREB経路は正常に作動しており、その理由はSIK2以外のアイソフォームSIK1,SIK3がSIK2機能を代償するためである。以上の結果はSIK-TORCによるCREB調節機構に新たな知見を加えるものである。
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