研究分担者 |
竹下 明裕 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00242769)
飯野 和美 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (90402263)
渡邊 良久 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00362187)
堀井 俊伸 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80283430)
白井 直人 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90362194)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 900千円)
2007年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2006年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
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研究概要 |
本研究では、種々の病態において、ジェネティックな遺伝子多型/変異だけでなくエピジェネティックな変化を、病変部位だけでなく血球細胞からとらえ、その変化の程度と、疾患/病態の客観的な進行度の指標としての検診などの臨床検査データを比較検討することを企画した。本研究では、癌を第一に研究を進めた。 Synuclein γ(SNCG)遺伝子は、細胞株での検討から、メチル化によって発現が沈黙し低メチル化によってSNCG遺伝子の発現が生じていた。白血病・消化器癌・脳腫瘍でも約半数で低メチル化とSNCG遺伝子の発現が認められた。健常人の全血から抽出したDNAではメチル化しており、発現は認められなかった。 大腸癌および泌尿器系の癌におけるDNAメチル化について検討した。大腸癌はhMLH1,hMSH2のエピミューテーションが見つかっている代表的な癌であり、癌細胞におけるマイクロサテライト不安定性とそれらミスマッチ修復遺伝子のメチル化について検討したが、エピミューテーションは見いだせなかった。 泌尿器系の癌について、LDHA, LDHB, CKB, CKM, SNCG, MAD2, NPTX2, SARP2, p16, GSTP1, BNIP3遺伝子プロモーター領域のメチル化、およびmRNA発現量を解析した。SARP2遺伝子の発現は、正常組織で強く腫瘍組織では発現消失する傾向が認められ、14例中12症例でメチル化バンドが認められ、また正常組織にも7例で腫瘍組織よりも少ないながらもメチル化バンドが認められたが、尿中の有形成分、血球細胞におけるDNAメチル化(エピミューテーション)は見いだされなかった。BNIP3遺伝子は、6症例でメチル化が認められ、メチル化している組織ではBNIP3発現が低下している傾向が認められた。ただ、2例については、対照とした正常組織にもメチル化が認められ、また部分的なメチル化が疑われた症例もPCR産物をクローニングして複数クローンの塩基配列を決定した結果、正常組織よりも腫瘍組織でメチル化の程度が強くなっていることが判明した。 エピジェノタイプは組織特異的かつ時期特異的に遺伝子発現を制御する。しかしながら、その制御機構は一律ではなく、症例によって異なることが示唆された。
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