研究課題
基盤研究(B)
高血圧関連候補遺伝子アプローチによってその高発現と血圧との関連性を見いだした炎症関連遺伝子を、マクロファージと顆粒球で過剰発現するトランスジェニックマウスを樹立した。その新生仔マウスは、サーファクタントの分泌低下を伴う肺炎を起こし生後2日目までに死亡する現象が見いだされた。肺炎は、母と新生仔マウスが、いずれもトランスジェニックの場合のみに認められた。マクロファージの機能解析の結果、CIAS1の高発現は、preIL-1βの発現亢進とIL-1βの分泌充進の両方をもたらすことが明らかとなった。従って、CIAS1の白血球中の高発現はIL-1βの高発現によって炎症を惹起し易く、IL-1βはサーファクタントの分泌低下を伴うために、ヒトの新生児死亡や炎症性疾患にも関連していると考えられる。また、モンゴル・ウランバートルのモンゴル保健科学大学との共同研究を通して、インスリン抵抗性に関わるとされるレチノール結合蛋白(RBP4)遺伝子のプロモーターSNPに、糖尿病・肥満との関連を見いだすと同時に、当該遺伝子産物の肝臓における発現量との関連を見いだした。この遺伝子の脂肪組織中での発現とSNPとの関連についても検討を行った結果、肥満・糖尿病のリスクアリルは、脂肪組織においてもRBP4の発現亢進をもたらし、脂肪細胞、殊に内臓脂肪の増殖とインスリン抵抗性を生じていると考えられた。さらに、日本全国に展開する自治医大卒業生とのネットワークを用い、日本全国からの血液サンプル収集を引き続き行い、現在2万1千人の臨床情報付きのゲノムバンクを構築した。匿名化されたゲノムを用いて、生活習慣病との関連が疑われている候補遺伝子の機能的SNPのタイピングを行っている。
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