研究課題
基盤研究(B)
膵臓癌は最も予後の悪い消化器癌のひとつであり、その理由として浸潤、転移傾向が強いことが挙げられる。最近、膵癌の前癌病変としてPancreatic intraepithelial neoplasm (PanIN)が提唱されており、この病変の癌化進展機構を明らかにすることは新しい膵癌の治療法開発に有用と考えられる。また、近年の研究で癌の浸潤、転移機構には、上皮細胞が間質細胞様の形質へ変化し細胞遊走能を獲得する、上皮-間葉転換: Epithelial-mesenchymal transition (EMT)が重要な役割を演じていることが示されている。しかし、膵癌においてEMTを誘導する因子については未だ不明な点が多い。本研究は、PanINの状態からEMTを誘導し癌転移を惹起させるスイッチをオンにする因子を同定することとした。本研究において以下の点を明らかにした:1)Bone morphogenetic protein 4 (BMP4)が膵癌細胞のEMTする;2)micro arrayの結果、BMP4によってHomeo box遺伝子のMSX2が誘導される;3)MSX2はSmaする経路とMAPキナーゼを介する経路が協調して誘導される;4)MSX2の発現を抑制した細胞ではBMP4EMT誘導が抑制される;5)MSX2それ自身も膵癌細胞のEMTを誘導し、in vivoにおいても肝転移、腹膜関連している;6)ヒト膵癌組織においてもMSX2は高頻度に発現し、低分化度と脈管侵襲に有意に関連る。本研究ではMSX2が膵癌細胞のEMTを誘導することを明らかにし、MSX2がPanINの状態からEMTを誘導しを惹起する因子のひとつである可能性を示した。
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