研究課題
基盤研究(B)
本研究では、定位反応を用いて胎児学習能を評価することを目的に、ヒト胎児に振動や各種の音響による刺激を行い、これに対する胎児心拍数、胎動の変化を、記録システムの作成と刺激条件の設定を行ったうえで、胎児の馴化について検討した。対象は妊婦から同意を得た妊娠32-34週の胎児9例と妊娠35-37週の胎児12例である。音響刺激には2種類の白色雑音(85dB):A刺激(250ms、無音期間250ms、4.75秒間反復)、B刺激(500ms、無音期間500ms、4.5秒間反復)を用いた。胎児の無眼球運動期に母体腹壁より15cm離れたスピーカからA刺激を5回呈示した後にB刺激を1回行った。解析には刺激後の胎児心拍数変化を用いた。妊娠32-34週、妊娠35-37週の各群およびコントロール群(無刺激)で、初回刺激に対する反応の大きさ、繰り返し刺激に対する反応の大きさの変化、A-5試行とB-1試行の反応の大きさを検討した。初回刺激に対する心拍数変化は、35-37週群では-3.6bpm(絶対値:4.3bpm)と有意であった。32-34週群では0.29bpm(絶対値:3.6bpm)であり絶対値のみ有意であった。繰り返し刺激、B刺激に対して、35-37週群では反応が漸減しB刺激により回復したが、妊娠32-34週の胎児では心拍数変化に一定の傾向は見られなかった。同意を得て同様の刺激をおこなった妊娠32週未満の胎児5例では反応を生じない例が4例存在していた。これにより、妊娠35週以降のヒト胎児では定位反応の馴化が心拍数変動として認められ、驚愕反応を利用した場合と同様の結果を得た。一般的には、ほぼ妊娠28週前後で低酸素症に対する心拍数変動の表現力が完成するとされ、同時期、延髄レベルの心拍制御はより高次中枢の影響下にあることも知られている。ここに、馴化の視点に立てば生理的な状況においては妊娠35週前後に心拍数変動に対するより高次の制御が完成するものと考えられる。これは、これまでに著してきたノンレム睡眠の完成と期を一にするものである。この成果は心拍数観察による胎児評価の臨床に一石を投じるものであるとともに、観察手殺としてより容易な心拍数変動を健常な胎児の高次神経機能の評価に応用する論理的根拠を導くものでもある。
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